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睡眠と脳の機能の意外な関係。

よく眠ると「頭がすっきりした」「仕事の効率が上がった」「言葉が出てきやすくなった」
普段の生活の中で実感するこうした"頭の冴え"効果以上に、睡眠は脳機能の健康に深い関わりがあることが近年の研究から分ってきました。

■記憶のコツは眠りにあり

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記憶には、連絡先のメモを見ながら電話する時のように数十秒から数ヶ月程度しかもたない「短期記憶」と、自宅kの電話番号のようにずっと覚えている「長期記憶」があります。

短期記憶が長期記憶に転化することを「記憶固定」と言いますが、これが睡眠と密接に関係していることが明らかになりつつあります。

また、睡眠状態は約10~20分程度の浅い眠りで脳は活発に動いている「レム睡眠」と、約70~80分の深い眠りで脳も休んでいる「ノンレム睡眠」に分けられますが、健康な若年者を対象とした実験結果から、「ノンレム睡眠」時に記憶の固定が行われていると考えれらています。

つまり、上手に睡眠を取り入れることで、効率よく記憶ができるというのです。

■眠りの質が将来の脳に影響

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米国での研究において、1時間に6回以上睡眠が途切れた人は、5回以下の人よりもアルツハイマー型認知症の患者に蓄積が見られる「アミロイドβ蛋白」が多く形成されるリスクがあることが分りました。

効率的に睡眠できた人に比べ、できなかった人の方がアミロイドβ蛋白が多くなりやすいことも判明。質の低い睡眠は将来の脳の認知機能に影響し、質の高い睡眠は認知症の予防や進行を遅らせるのではないかと考えられています。

また、米国ロチェスター大などのチームがマウスの脳を調べたところ、脳内の隙間を流れる脳脊髄液が毒性のある排泄物を除去していることが明らかになりました。

睡眠中は脳脊髄液の流れる隙間が覚醒時より60%以上も拡大しており、アミロイドβ蛋白を脳に注入すると、睡眠時には覚醒時の2倍の速さで脳脊髄液によって除去されました。

ぐっすり眠った後に頭がすっきりするのは、こうした脳内の掃除とも言える働きのおかげなのかもしれません。

※:ワシントン大学Yo-Ei S ju博士ら研究班がJAWA Neurology(2013: 70: 587-593)に発表。

■いつまでも健康な脳でいるために

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睡眠の質をいかに高めるか。上記の研究などから、それは今日の"頭の冴え"だけでなく、将来にわたって健康な脳でいられるかどうかに大きく関わっていると考えられています。

そのような中、今、注目されているのが「プラズマローゲン」。脳や心臓、血液など、人の体内にあるリン脂質(細胞膜を形成する主な成分)の一種です。プラズマローゲンを摂取していると、睡眠の途中で目が覚めることが減ったとの感想が多く聞かれます。

また、脳神経細胞に存在するプラズマローゲンが、脳の根本的な機能に大きく関与していることが明らかになりつつあります。アルツハイマー型認知症では血中のプラズマローゲン量が低下することから、発症との強い相関関係も見出されています。プラズマローゲンはさらなる研究が進められており、治療薬やサプリメントとしての活用が期待されます。