お知らせ
東京ミッドタウン皮膚科形成外科Noage院長 上島医師が、「男性型脱毛症(AGA)に対する先端治療、歯髄由来幹細胞培養上清液(SHED-CM)の臨床効果」を発表
東京ミッドタウン皮膚科形成外科 Noage(ノアージュ)院長 上島朋子医師による「男性型脱毛症(AGA)に対する歯髄由来幹細胞培養上清液(SHED-CM)の毛髪再生効果に関する臨床研究」が、美容皮膚・ヒト臨床ジャーナル「Journal of Cosmetic Dermatology (JCD)」2023年5月号に掲載されました。
・毛髪再生治療のパイロットスタディで、歯髄由来幹細胞培養上清液(SHED-CM)は男性型脱毛症(AGA)の75%に有効であることを報告。この治療法は、脱毛症の重症度やジヒドロテストステロン(DHT)※1合成阻害剤との併用、年齢にかかわらず効果を発揮し、深刻な副作用は認めらなかった。
・AGA治療は長期間にわたって継続する必要があり、治療効果を実感できるまで治療へのモチベーションを維持することが重要である。そこで、毛髪の計測値から薄毛改善を予測する「新たなスコアシステム」を見出し、そのスコアを活用すると治療が奏功しているかどうかを早期に確認できる可能性があることがわかった。
・本臨床研究の論文が美容皮膚・ヒト臨床学術ジャーナル「Journal of Cosmetic Dermatology (JCD)」2023年5月号に掲載※2。 (https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/jocd.15799)
【研究目的】
本研究では、男性型脱毛症(AGA)に対する毛髪再生治療である、自然脱落した乳歯由来の歯髄幹細胞培養上清液(SHED-CM)の有効性と安全性を評価し、ザガーロやプロペシアなどのジヒドロテストステロン(DHT)※1合成阻害剤を内服している場合と内服していない場合のSHED-CMの有効性の比較を行いました。
【研究背景と方法】
MSC-CM(間葉系幹細胞培養上清液)は、AGA患者様に毛髪再生を誘導することが知られています。
本研究では、以下2点の検証を行いました。
1. MSC-CMの一種であるSHED-CMはAGAの治療に効果があるか
2. DHT※1 合成阻害剤とSHED-CMを併用することで、より効果的な治療法となるか
まず、一般的な臨床進行度分類であるハミルトン・ノーウッド分類(H-N C)I~VIIの AGA患者様88名をトリコスコピー※3で評価し、次に、H-N Cと統計的に相関するトリコスコピー※3因子を探索しました。
視診と血液検査によるスクリーニング後、33名の患者様に1カ月間隔で6回のSHED-CM治療を施行。その後3カ月間経過観察を行った後、ベースライン(治療前)から9カ月目までの臨床写真とトリコスコピー※3画像を使用して毛髪の状態を評価し、分析しました。
【結果】
-最大毛直径、軟毛率、複数毛を有する毛包ユニット率の3つの定量トリコスコピー※3因子(3QTF)で評価した毛髪のスコアは、H-N Cの各レベルと高い相関関係があることがわかりました。
–疾患の重症度、DHT※1合成阻害剤との併用、年齢にかかわらず、75%の患者様にSHED-CMによる3QTFスコアの上昇が見られました。副作用は、痛みや小出血などの一過性で軽度のものでした。
-DHT※1合成阻害剤を併用しない群の60%、併用群の85%に3QTFスコアの上昇がありました。
-3QTFの回帰分析を行った結果、SHED-CMが有効か否かを治療早期に予測できる可能性があることがわかりました。
上島朋子医師 Journal of Cosmetic Dermatology (JCD) 論文掲載より
※1 AGAと深い関係があるといわれる男性ホルモンの一種。
※2 論文タイトル:Trichoscopic evaluation of dental pulp stem cell conditioned media for androgenic alopecia
※3 トリコスコピーは、毛髪の状態を評価するために使用される非侵襲的な検査方法です。毛髪の密度、直径、成長パターンを測定するために使用されます。
【研究総括】
本研究では、さまざまな測定値からAGAの臨床像を反映する3QTFを見出し、独自の診断スコアシステムを用いて、毛髪再生を目的とした先端治療であるSHED-CMの治療効果を検証しました。その結果SHED-CMは、患者様の重症度やDHT※1合成阻害剤との併用、年齢にかかわらず効果があることがわかりました。
AGA治療は目に見える改善が発現するまでに時間を要するため、患者様のモチベーションを維持することが重要です。一般に使用されている評価法よりも毛髪の変化を詳細にとらえることができる3QTFスコアと、それをグラフ化した「毛髪指標の可視化」により、患者様と医師の双方がより簡単に現状を把握し、患者様の治療意欲を高めることができると考えられます。
今回の検証でSHED-CMの効果が低かった25%の患者様については、細胞移植など、他の治療を併用することで3QTFスコアを改善できる可能性があり、このスコアシステムを応用することで患者様一人ひとりに最適な治療方法を提供できることが期待されます。
<参考情報:試験方法>
対象者:男性型脱毛症患者様33名※(平均年齢50.7歳)
※東京ミッドタウン皮膚科形成外科Noage(ノアージュ)受診患者様
試験期間:9カ月
使用製品:SHED-CM
計測方法:頭頂部全体画像、ダーモスコープによる拡大画像(トリコスコー画像)によるスコアシステムを組み合わせ、有効性を検証。
<参考資料>
従来のAGA治療評価法は、主に次の2つに基づいています。
- 1. ハミルトン・ノーウッド分類: 薄毛の進行度を7段階に分けて評価
- 2. 毛髪の臨床(トリコスコピー)評価: 毛直径や毛密度などを測定して、毛髪の状態を評価
これらの評価法はAGAの治療効果を評価するために使用されますが、いくつかの難点があります。ハミルトン・ノーウッド分類は主観的であり、髪型などの影響で再現性がない場合があります。毛髪の臨床(トリコスコピー)評価は、毛直径や毛密度などを測定しますが、毛密度は必ずしも進行度を反映しないことがわかりました。
本研究で行った3QTFによる毛髪の評価法は、毛髪の画像を解析し、治療の有効性を客観的に評価しており、従来の評価法よりも再現性と信頼性が高いと考えられます。さらに、本研究で行った3QTFスコアによる毛髪の評価法は、ハミルトン・ノーウッド分類と相関していることが統計的に示されました。以上から、3QTFスコアシステムは、AGA治療の有効性を評価するためにも応用できる信頼性の高い方法だと考えられます。
<上島医師のAGA治療評価法>
従来のAGA治療評価法より、薄毛の外見(進行の度合い)とより高い相関関係にある指標3QTFをスコア化し、独自の方法で「毛髪指標の可視化」をしました。
3QTF:
1. 最も太い毛3本の直径の平均値(最大毛直径)
2. 直径30μm未満の細い毛の割合(軟毛率)
3. 1つの毛穴から複数の毛が生えているものの割合(複数毛を有する毛包ユニット率)
薄毛の外見が改善するにつれ、スコア値が高くなり、チャートの三角形の形が正三角形に近づいていきます。
上島朋子医師 Journal of Cosmetic Dermatology (JCD) 論文掲載より
>>本研究について詳しくはプレスリリースをご覧ください
https://www.amcare.co.jp/news/uploads/pr_release_kamishima_amc20230612.pdf
※当ページの内容は「2023年6月12日」時点の情報です。