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Vol.25(2022/05/12)当クリニックの抗体検査陽性率/日本と世界の感染動向/変異株最新情報まとめ/新たに承認されたワクチン情報ほか

まん延防止等重点措置が全ての地域で解除されてから2か月弱が経過しましたが、新規の感染者数は横ばい傾向が続いています。
新型コロナウイルスは変異を繰り返していきますが、現時点で感染対策を変える必要はありません。
ワクチン接種や、マスクの着用、手指消毒、3密の回避といった基本的な対策を継続して徹底していきたいものです。
今回は、国内外の変異株の動向とワクチンに関する最新情報をお届けします。

[1]当クリニックの新型コロナ抗体検査陽性率

当院での新型コロナ感染抗体陽性率は、2月中旬以降に20%以上に急に上昇しています。

これはワクチン2回接種後に6か月程度経ったため中和抗体価が低下し、そこにオミクロン株感染が広がったためと考えます。ドックや外来を受診するグループの人では、無症状を含めると4-5人に1人が感染の既往がある可能性があります。
その後は3回目接種の人が増えてゆくため、抗体陽性率はそれほど変化しないと考えられます。

●2021/12/15~2022/1/14 検査数147 陽性数19 陽性率(%)12.9
●2022/1/15~2022/2/14 検査数215 陽性数27 陽性率(%)12.6
●2022/2/15~2022/3/14 検査数143 陽性数36 陽性率(%)25.2
●2022/3/15~2022/4/14 検査数158 陽性数35 陽性率(%)22.2

図1:東京ミッドタウンクリニックでの抗体検査の陽性率

図1:東京ミッドタウンクリニックでの抗体検査の陽性率

3回目接種の割合に関しては下記の円グラフ(グレイが3回接種)のように増えていました。

図2:接種回数

図2:接種回数

図3:東京ミッドタウンクリニックでの中和抗体の経時変化

図4:東京ミッドタウンクリニックでの中和抗体の経時変化

[凡例]
縦軸:1回目採血時の中和抗体値を100%とした時の、2回目以降の採血結果時の中和抗体値の減少率(%)
横軸:1回目の中和抗体採血時をDay0とした時の、経過日数(日)

[2]日本での発生状況

2022年に入ってからオミクロン株感染者が非常に多いことが分かります。

図4:全国の新規症例報告数

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次はPCR検査数と、PCR陽性率です。

図5:PCR 検査数、PCR 陽性者数、陽性率
週別(2021年3月29日~2022年4月25日)

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今年に入って検査数が急激に増えていますが、陽性率も30%を超えています。
これはデルタ株感染の第5波の時よりも高い数値です。

これらから考えられることは、検査を受けた人は感染が強く疑われた人に限られたというバイアスがかかっており、無症候の人で検査を受けていない人が多かった可能性があります。
そうすると感染者はもっと多かった可能性があります。
当院の抗体陽性率はかなり正しいと考えます。

(出所)国立感染研:新型コロナウイルス感染症サーベイランス週報:発生動向の状況把握
2022年第16週(4月18日~4月24日; 4月26日現在)掲載日:2022年5月2日
https://www.niid.go.jp/niid/images/epi/PDF/COVID-19_2022w16.pdf

[3]世界の状況

世界でも2022年に入ってからオミクロン株が流行し、感染者数はかつてないほど急増していました。

年末から特に欧州,北米を中心に新型コロナウイルス患者が急増しました。この今までの流行株では見られない程の急激な患者数の増加はオミクロン株によるものでした。この世界的流行は1月24日をピークに減少していますが、主にアジア、ヨーロッパを中心として3月上旬から3月17日にかけて一時的に増加した後に再び減少を続けています。

図6:世界の新規感染者数の動向(2020/2/20~2022/5/1の7日間移動平均)

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出典:ourworldindata.org/covid-cases

コロナウイルスによる死亡者数の変遷を表すグラフです。患者数の増加により世界における死亡者数も大幅な増加が見られましたが、2月10日をピークに世界的な減少傾向が続いています。

図7:世界の死亡者数の動向(2020/2/20~2022/5/1の7日間移動平均)

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(出所)東京都健康安全研究センター「世界の新型コロナウイルス変異株流行状況(5月2日更新しました)」
https://www.tmiph.metro.tokyo.lg.jp/lb_virus/worldmutation/

また米国では、感染既往者が50%を超えており、「普通の感冒性疾患」に近づいてきている可能性が出てきました。

米国では2月時点で新型コロナウイルスに感染したことのある人が60%近くに達し、子どもでは4人に3人に上ることが示された。米疾病対策センター(CDC)の報告書で明らかになった。

CDCが26日に公表した調査報告書によると、検出可能で感染によって誘導された抗体を持つ人の割合は米国で2021年12月の34%から22年2月には58%に拡大したと推定されている。冬季のオミクロン株感染者急増で全米に広がったことが浮き彫りになった。

冬のオミクロン株感染の波が最も大きかった時期には1日当たり感染確認者数の7日間平均が80万人を超え、それまでの最高を大幅に上回った。自宅での検査の増加や、多くの人が検査にアクセスできなかったことなどを踏まえると、かなり多くの人が感染者として数えられていない可能性が高い。

(出所)THE WALL STREET JOURNAL「米国の新型コロナ感染者、60%に近づく=CDC」
https://jp.wsj.com/articles/more-than-half-of-people-in-u-s-likely-had-covid-19-cdc-says-11651014914

[4]変異株に関して

オミクロン株は、その亜流を含めて、数多くの変異株を生み出しています。

■「BA.2」世界で広がる
新型コロナウイルスは世界中で広がる中で変化を繰り返しています。その中で今、世界各国で最も広がっているのがオミクロン株の1つ「BA.2」というウイルスです。「BA.1」からさらに、ウイルスの表面の突起で細胞に感染する際の足がかりとなる「スパイクたんぱく質」などの遺伝子が変異しています。

■ 英93%・米72%が「BA.2」
新たに確認された感染者のうち「BA.2」の占める割合は
▽イギリスでは保健当局が2022年3月27日までの1週間で93.9%に上ったとしていて
▽アメリカではCDC=疾病対策センターが2022年4月2日までの1週間で72.2%だと推定しています。

■ 日本 5月には93%が「BA.2」に
日本国内では国立感染症研究所が民間の検査会社のデータをもとに全国での「BA.2」の割合を推定したところ、2022年3月半ばの時点で30%程度でしたが、5月の第1週には93%、6月の第1週には100%を占めるとみられるということです。

「BA.1」では2021年12月下旬に市中感染が確認されてから数週間後の2022年1月中旬にはそれまでのデルタ株からほぼ置き換わりました。

「BA.2」は2月中旬に東京都で市中感染が確認され「BA.1」に置き換わった時に比べると急激ではありませんが、置き換わりが進んでいます。

特徴1.「BA.1」より感染力が強まっている
WHO=世界保健機関は「BA.2」は第6波で主流だったオミクロン株の「BA.1」と比べて感染力が強まっているとしています。デンマークのデータを使った分析では「ある人が感染してからほかの人に感染させるまでの時間」=「世代時間」は「BA.1」より15%短く「1人が何人に感染を広げるか」を示す「実効再生産数」は26%高いとされています。

特徴2. 重症化率は低いか
重症化率は低いとみられ、WHOはイギリスでの分析結果として「BA.1」に感染した人と「BA.2」に感染した人の間で入院に至るリスクに差は無かったとしています。

特徴3. 「BA.1」感染 →「BA.2」感染も
「BA.1」に感染した人でも「BA.2」に感染する可能性はあります。

■ワクチンの効果

ワクチンの効果

ワクチンの効果はイギリスの保健当局の研究者がまとめたデータによりますと、発症予防効果は3回目の接種から▽1週間の時点で「BA.1」は71.3%だったのに対し「BA.2」は72.2%で大きくは変わりませんでした。一方▽15週間以上たった時点では大幅に下がり「BA.1」で45.5%「BA.2」で48.4%でした。

ワクチンの3回目の接種の進展は政府の発表によりますと、国内で3回目の接種を終えた人は4月11日時点で65歳以上の高齢者でおよそ85%に上り、人口全体でも45%ほどとなっています。

海外の感染症の状況に詳しい、東京医科大学の濱田篤郎特任教授は「世界的にはほとんどの国で『BA.2』系統に置き換わっていて、ヨーロッパでは9割を超えている国もある。日本でも今後は接触機会を減らしながら予防対策をもう少し強めに行うことや、ワクチンの追加接種を進めることなどが大事だ。特に20代の感染者が多くなっているので、この世代への対策が再増加を軽くできるかどうかのカギになるのではないか」と話しています。

■新タイプ「XE」 日本でも初確認
さらに新たな変異ウイルスで複数のウイルスが組み合わさった「XE」と呼ばれるタイプがイギリスなどで報告されています。日本国内でも検疫で初めて確認されました。

1.「XE」国内検疫で確認 成田到着の女性
厚生労働省は4月11日「XE」が国内の検疫で初めて確認されたと発表しました。感染が確認されたのはアメリカから入国した30代の女性で、3月26日に成田空港に到着したあと検疫所での検査で陽性となり、国立感染症研究所で検体の遺伝子を解析した結果「XE」と確認されたということです。

2.「XE」・・・「BA.1」+「BA.2」
ウイルスは小さな変異を繰り返し新たな性質を獲得しますが、それとは別に1人の人が複数のタイプに感染することで遺伝子の組み換えが起きて複数のウイルスが組み合わさった新たなウイルスができることがあります。

「XE」・・・「BA.1」+「BA.2」

「XE」は複数のウイルスが組み合わさってできたタイプで、オミクロン株の「BA.1」と「BA.2」が組み合わさっています。ウイルスの表面にあり、人の細胞に感染する際の足がかりとなるスパイクたんぱく質を含むほとんどの部分が「BA.2」ほかの部分が「BA.1」となっています。

3.「XE」感染広がるスピード 「BA.2」より12.6%速い

「XE」感染広がるスピード

■複数が組み合わさったウイルスまだほかにも・・・
複数のウイルスが組み合わさったタイプのウイルスはほかにもあり、このうち「XD」と「XF」は去年夏の「第5波」で広がったデルタ株と、オミクロン株の「BA.1」というタイプが組み合わさったタイプです。

1.「XD」・・・ほとんどデルタ株+スパイクたんぱく質が「BA.1」

「XE」感染広がるスピード

2.「XF」・・・一部がデルタ株+大部分が「BA.1」

「XE」感染広がるスピード

3. 「BA.4」「BA.5」も確認・・・
さらにこのほかのタイプでもスパイクたんぱく質の遺伝子が変異している「BA.4」や「BA.5」と呼ばれる変異ウイルスも南アフリカなどで確認されています。

■専門家「基本的な日常の対策は変わらない」
現在の新規感染者数は去年夏の第5波のピークより高い状況が続いています。厚生労働省の専門家会合は、さらにリバウンドの可能性も懸念されるとしていて
▽ワクチンの追加接種をさらに進めること
▽外出の際には混雑した場所や換気が悪い感染リスクの高い場所を避けること
▽不織布マスクの正しい着用、消毒や換気、密を避ける
といった対策を徹底するよう改めて呼びかけています。

(出所)NHKオンライン 新型コロナ「BA.2」「XE」とは?知っておきたいこと【4/11】(2022年4月11日 19時42分)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220411/k10013576501000.html

図8:新規感染者発生状況データ(1日あたりの新規感染者数の多い順:2022年4月30日時点)

東京都健康安全研究センター「世界の新型コロナウイルス変異株流行状況(5月2日更新しました)」

(出所)東京都健康安全研究センター「世界の新型コロナウイルス変異株流行状況(5月2日更新しました)」
https://www.tmiph.metro.tokyo.lg.jp/lb_virus/worldmutation/

[5]ワクチン4回目接種について

3回目の接種後の効果が問われる状況となり、いま4回目の接種についての検討が進んでいます。

図9:3回目のワクチン接種の効果

 図10:3回目のワクチン接種の効果

先行する海外事例の論文内容を見ていきます。

■4回目のmRNAワクチン接種後、抗体はどれくらい増えるか
図10:3回目までファイザーのmRNAワクチンを接種した後、4回目にファイザーまたはモデルナのワクチンを接種した場合の抗体価の推移(DOI: 10.1056/NEJMc2202542)

東京都健康安全研究センター「世界の新型コロナウイルス変異株流行状況(5月2日更新しました)」

医療従事者を対象にしたイスラエルでの4回目のワクチンの効果と安全性を評価した研究が報告されています。
縦軸は2回目よりは3回目、3回目よりは4回目の後の方が抗体価は高くなっていますが、それほど大きな変化とは言えません。
3回目の接種後に時間が経つと抗体価が減ってきますが、4回目によってそれが再上昇するということは確認できます。

■オミクロン株に対する中和抗体は4回接種後も不十分
図11:野生株、デルタ株、オミクロン株に対する中和抗体価の推移(DOI: 10.1056/NEJMc2202542)

  図12:野生株、デルタ株、オミクロン株に対する中和抗体価の推移(DOI: 10.1056/NEJMc2202542)

ワクチン接種後に産生される中和抗体(実際にウイルスを中和するための抗体)の量は、変異株の種類によって異なります。
元々、ファイザーやモデルナのmRNAワクチンは、武漢で見つかった新型コロナウイルス(いわゆる野生株)のスパイク蛋白を細胞内で産生し、免疫を得るというものです。
しかし、オミクロン株では非常に多くのスパイク蛋白の変異が起こっており、野生株のスパイク蛋白とは顔つきが大きく変わっています。
このため、mRNAワクチンの接種によって野生株に対する中和抗体は多く産生されますが、オミクロン株に反応するための中和抗体の量は十分ではありません。

■4回目のワクチンの感染予防効果は11〜30%
図12:4回目のワクチン接種をした人と、3回目までの接種の人の累積罹患率の推移(DOI: 10.1056/NEJMc2202542)

  図13:4回目のワクチン接種をした人と、3回目までの接種の人の累積罹患率の推移(DOI: 10.1056/NEJMc2202542)

この研究では、4回目のワクチン接種をしなかった人(3回目まで接種した人)は、観察期間中に25%がオミクロン株に感染したのに対し、ファイザー接種群は18.3%、モデルナ接種群は20.7%が感染しており、3回目接種のみの人と比べた感染予防効果はそれぞれ30%、11%と計算されました。

ちなみにこの研究でオミクロン株に感染した医療従事者は、4回目接種群の方が無症候性感染者の割合が多かった(25〜29.2%)ものの、4回目を接種した群も接種なしの群と比べてウイルス量は多く、感染した場合の周りに感染を広げるリスクはおそらく変わらないものと考えられます。

図13:4回目接種後に生じた副反応の頻度(DOI: 10.1056/NEJMc2202542)

図14:4回目接種後に生じた副反応の頻度(DOI: 10.1056/NEJMc2202542)

なお、4回目の接種後に生じた副反応は、3回目までの副反応と大きな違いは見られませんでした。

図14:4回目のワクチン接種の副反応

図15:4回目接種後に生じた副反応の頻度(DOI: 10.1056/NEJMc2202542)

これまで通り接種部位の腫れや痛み、だるさ、筋肉痛、頭痛、発熱、リンパ節の腫れなどが見られています。3回目までよりも特に副反応が多くなる、ということはなさそうです。

■60歳以上の高齢者では感染リスクが半減、重症化リスクが1/4
ファイザー社は3月15日にプレスリリースを発出し、イスラエルにおける60歳以上の高齢者を対象にした4回目のワクチン接種の効果について発表しました。
このプレスリリースによると、3回目の接種から4ヶ月後以降に4回目のワクチン接種をした高齢者では、4回目を接種していない高齢者と比較して感染者が半分、重症化した人が4分の1であった、とのことです。
これらのデータを元に、ファイザー社はアメリカのFDA(アメリカ食品医薬品局)に65歳以上の高齢者に対する4回目の接種に関する申請を行ったとのことです。

さて続いては、日本での検討状況を見ていきます。

■日本での4回目接種 接種間隔や対象は
厚生労働省の専門家部会ではファイザーとモデルナのワクチンについて、4回目の接種に使用するかどうかが審議されました。

間隔:5か月
対象:60歳以上・基礎疾患ある人

■5月下旬めどに準備を
厚生労働省は、5月下旬をめどに会場の手配や接種券を送る準備などを終えるよう、3月、自治体に通知しました。

■4回目の接種間隔 海外では
図15:4回目のワクチン接種に関する海外各国の動向

4回目接種 海外の動き
国(時期) 対象 間隔
イスラエル
(去年12月~)
60歳以上
18歳以上で重症化リスク
医療従事者など
4か月
ドイツ
(2月~)
70歳以上
5歳以上で免疫不全
介護施設の入所者
3か月
医療従事者など 6か月
フランス
(3月~)
80歳以上
免疫不全
3か月
イギリス
(3月~)
75歳以上
介護施設の高齢者
12歳以上で免疫不全
おおむね6か月
アメリカ
(3月~)
50歳以上
臓器移植など免疫不全
4か月

■米 50歳以上対象に4回目接種許可
アメリカのFDA=食品医薬品局は3月29日、アメリカのファイザーとモデルナの新型コロナウイルスワクチンについて、50歳以上を対象に4回目の接種を許可すると発表しました。

(出所)Yahoo!ニュース「4回目のワクチン接種の効果によって明らかになってきた、既存の新型コロナワクチンの有効性の限界(忽那賢志)」(3/20(日) 7:00)
https://news.yahoo.co.jp/byline/kutsunasatoshi/20220320-00287289

NHK「コロナワクチン4回目接種 効果や副反応は?接種間隔は5か月に」(2022年4月26日)
https://www.nhk.or.jp/shutoken/newsup/20220426a.html

[6]新しく認可されたワクチンに関して

先日、日本では4例目となる、新たなコロナワクチンが承認されました。その特徴を見ていきます。

新型コロナウイルス用のワクチンとして国内では4種類目となる米国ノババックス社製の「ヌバキソビッド筋注」(一般名:組換えコロナウイルス〔SARS-CoV-2〕ワクチン)が4月19日に厚生労働大臣が製造販売承認した。既に1億5000万回分の供給契約を結んでおり、ノババックス社から技術移転を受けて武田薬品工業が山口県光市の工場で製造・販売するため、安定供給に期待がかかる。

添付文書より「作用機序」

本剤は、融合前のコンフォメーションで安定化し、精製された完全長のSARS-CoV-2 rSナノ粒子で構成されている。また、サポニンベースのMatrix-Mアジュバントの添加により、自然免疫系の活性化を促進し、S蛋白質特異的免疫応答を高めている。これら2つのワクチン成分により、S蛋白質に対するB細胞及びT細胞の免疫応答(中和抗体を含む)が誘導されることで、COVID-19感染症に対して防御作用を有すると考えられる。

接種対象者は18歳以上で、初回免疫では他の製品と交互接種とはせずに3週間の間隔で1回0.5mLを接種。追加接種は「流行状況や個々の背景因子等を踏まえて」要否を判断し、2回目接種から少なくとも6カ月経過後に3回目接種を行うことができるとしている。

臨床試験では、初回免疫について、米国とメキシコで行われた3万人規模の第III相試験で90.4%、英国で行われた1万5千人規模の第III相試験で89.7%の発症予防効果が得られた。国内治験での日本人における血清中和抗体価は、海外でのデータと大きく異ならない結果が得られた。

追加免疫については、2回目接種14日後の血清中和抗体価の幾何平均値(GMT)が724.2、180日後が69.4で、3回目接種35日後において3687.7であった。

現在流行中のオミクロン株への有効性については、厚労省は「中和抗体価が若干低いものの一定の値は認められる」としている。

図16:米国ノババックス社製ワクチンの副反応まとめ(添付文書より)

図17:米国ノババックス社製ワクチンの副反応まとめ(添付文書より)

(出所)m3.com「ノババックス製新型コロナワクチンの薬事承認を了承、国内4種類目として承認
武田薬品が国内で製造販売」(2022年4月19日 (火))
https://www.m3.com/news/iryoishin/1036337